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トルシエは仏代表に厳しい評価!?
「効率的だが愛されないチーム」
posted2018/07/24 11:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
フランスの優勝でロシア・ワールドカップが幕を閉じてからすでに1週間が過ぎた。その間に、新しい世界チャンピオンへの評価は賛否両面から様々に議論されているのだろうと思う。
興味深いのは、ワールドカップ中にNumber Webで連載を続けてきたフィリップ・トルシエ、イビチャ・オシムの両人ともに条件つきでしかフランスの優勝を評価していないことである。
特にトルシエは、自国優勝の余裕もあってか殊のほかディディエ・デシャンとフランス代表に辛口であるといえる。
優勝が決まった直後、デシャン、ズラトコ・ダリッチ両監督の会見の後にトルシエに話を聞いた。彼が分析したフランス代表の真実とは、いったい何であったのかをじっくりと読んで欲しい。
「“ティキタカ”の時代は終わった」
――決勝をどう分析しますか?
「たしかにフランスが世界チャンピオンになった。とても効率的で、タイミングよく効果的に得点を決めた。プラグマティズムと効率の勝利だ。もちろん選手たちの才能は疑いないが、私がまず言いたいのは、この勝利がスペイン流の“ティキタカ”が終わりを告げたことを示していることだ。
それこそ考慮すべきことで、選手をよりうまく使うことで生じるさらなる効率が、これから重視されるようになるだろう。
フランスの成功は、手持ちの武器を有効に使った監督の成功であり、デシャンはそれを100%効率的に活用する術を持っていた。フランス代表の武器はまずディフェンス面のそれであり、統一感と連帯意識を持った選手たちが、プレーにおけるディシプリンを発揮しながら課せられた役割を十分に引き受けることができた。
そしてムバッペのような選手を配置することで攻撃のポテンシャルも存分に活用した。ムバッペのいないフランスは別のチームだ」