ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
フランス代表の黄金時代、始まる――。
クロアチアに勝った“ディテール”とは?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/07/16 11:30
近年稀に見るエキサイティングな決勝戦だった。と同時に、決勝戦の勝敗にまでVARが大きく影響した、歴史的な試合ともなった。
ロシア大会の結末としてふさわしい優勝。
フランスは、グループリーグから圧倒的な強さを見せつけたわけでもない。試合ごとに逞しさを増していったのだ。
ターニングポイントは決勝トーナメント1回戦だっただろう。アルゼンチンに一度はリードされながらも4対3の撃ち合いを制したことで、勢いと自信をつかむことができた。
グリーズマン、ポグバ、ラファエル・バランらがキャリアのピークを迎えるのはまだ少し先で、ムバッペという蓋世の才がスターダムに躍り出た。
自分たちの強みを得点へ結びつけ、セットプレーを効果的に生かし、相手の猛攻に耐え得る守備力を備える。
組織力を唯一の拠りどころにするわけでなく、傑出した個人に頼ることもないフランスが勝者として母国へ凱旋するのは、ロシアW杯の着地点としてふさわしいものだった。
10年後、20年後にロシアW杯が振り返られるとき、我々は驚きと興奮に満ちたこの1カ月の眩しさを再確認するに違いない。
時代は、開闢したのだ。