酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
プロ野球にダブルヘッダー復活を!
終盤の過密日程、消化試合を防げ。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/07/18 10:30
プロ野球最後のダブルヘッダーは1998年の10月に行われた横浜対中日と、西武対オリックスだ。
長嶋茂雄の引退試合もダブルヘッダーだった。
昭和の時代のダブルヘッダーは、第1試合と第2試合の間が30分くらいしか空いていなかった。ノックや守備練習もなし。グランド整備が終わると選手がベンチの前に出てキャッチボールをはじめて、すぐに試合が始まった。
試合内容は投手戦の後に大打撃戦になったり、同じチームが大勝と大敗になったりさまざまだったが、2試合続けて見ると「野球を堪能した」という満足感があった。試合と試合の間に飲むビールがうまかった記憶もある。
もっとも今の応援団各位は2試合とも全力応援をしたら、全員ばててしまうかもしれないが。
昭和の時代、ダブルヘッダーはいろいろなドラマを生んだ。
長嶋茂雄の引退試合も、実はダブルヘッダーだった。1974年10月14日の中日戦、第1試合で長嶋茂雄は3番三塁で先発し、生涯最後の本塁打(通算444号)を打った。第2試合で「巨人軍は永久に不滅です」という名台詞が生まれたのだ。
あの「10.19」もダブルヘッダーだった。1988年10月19日の第1試合で近鉄はロッテに4-3と勝ってマジック1として、運命の第2試合を迎えたのだ。
捕手梨田昌孝(前楽天監督)や内野手吹石徳一(女優吹石一恵の父)などの名選手は、この試合がラストゲームになった。
関東地方は、史上最速で梅雨が明けたが、その後悪天候になった。台風の発生も多い。地球温暖化の影響なのか、今後も天候不順は増えるだろう。
ダブルヘッダーを真剣に検討すべきときは、案外早くくるのではないか。
1日2試合の凝縮したドラマは、NPBにさらなる魅力を加えると思うが、検討してはいかがだろうか。