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元フロンターレ井川祐輔の香港挑戦。
「裏海外組の凄さを知ってほしい」
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byKawasaki Frontale
posted2018/07/09 17:00
12シーズンにおよぶフロンターレ生活の後、香港移籍を決めた井川祐輔。そのプレーと表情には充実感が漂う。
香港でもJリーグはすごく見られている。
――すごい流れですね。ちなみに香港のサッカー人気はどうなんですか?
「サッカー人気はあると思いますが、スタジアムに足を運ぶ人は少ないんです。ホームスタジアム、だいたい平均1000人いかないくらいです。ただイギリスの植民地だったということもあって、プレミアリーグの影響は強いと思いますね」
――Jリーグ人気はあるんですか?
「香港人は日本が大好きで、Jリーグをすごく見ているんですよ。だからACLやJリーグで川崎があまり勝てていない時期はかなり言われました。『どうしたんだよフロンターレ』って(笑)。ジョークで『お前がいなくなって弱くなったな』と言われて『そう、そう』とやり取りできるぐらいで、このシーズンオフにもチームメートの多くが日本に観光しに来ているくらいですよ」
――香港と日本の環境はどれほど違いますか?
「移動は電車やバスですし、練習場も人工芝です。試合のピッチもボコボコで『今日はビーチサッカーだな』と笑い話にするような環境でやっています。シャワーを浴びるところもキレイではないし、自分たちでシャンプーなどを用意しなくてはいけないので最初はビックリしました。Jリーグだとホペイロがいてシャンプーなどは用意されていますからね。
だから自分が大量にシャンプーを買っていって『これ、使っていいよ』と言ったら『それ、いいシステムだな!』とチームメートが言うんです。でも僕とすれば『なんでやってこなかったんだよ』と言いたいんですが(笑)。あと移籍当時は結構髪が長くてドライヤーがないから寒かった。それを周りの選手たちが『井川、ディスイズ香港だよ』と言ってきて、ああ、これも香港かと」
――(笑)。サッカーのレベルはどう感じていますか?
「J2の下位からJ3くらいですね。ただ、だからといって誰もが活躍できる場所ではないです。行く前は『Jリーグから行くわけだし、活躍できるだろう』と密かに思っていましたけど、やはりサッカーのスタイルは川崎とは違うし、選手も違う。自分が『こういうサッカーをしたい』と押し通しても、チームとして上手く回らない。チームに順応することを考えないと活躍できないと感じました」