サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
リオ世代を診たドクターが明かす、
大島、植田、遠藤の素顔とタフさ。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2018/06/18 17:00
前評判は高くなかったが、2016年のAFC U-23選手権で優勝したリオ世代。彼らの経験値がW杯で生きる時は来るはずだ。
トレーナーの協力もあって回復。
「悪くなる可能性もありましたが、本人が『先生、できます』というので、やらせることにしました。ただ、当時は浦和レッズへの移籍が決まったばかりで、何かあったらクラブにも申し訳ない。そこでMRI検査を行なうと、案の定、出血している。けれど、何週間も休まなくてはならない所見ではありませんでしたし、キャプテンである本人の強い意志もありましたから、ピッチに立たせたんです」
結局、遠藤は最終予選のサウジアラビア戦を除く全試合に出場し、リオ五輪出場に大きく貢献する。
「故障した箇所に負荷がかからないよう、トレーナーに周りの筋肉をほぐしてもらったことも良かったんだと思います。加えてキャプテンとしての責任感というか、メンタルの部分も少なからず好影響を及ぼしたはずです。韓国との決勝戦の頃には、『もうまったく痛まない』と言っていましたね」
あえて精密検査はしないように。
こうして、リオ五輪の出場権を勝ち取ったチームはその後、5月のリーグ戦で奈良竜樹(川崎)が左脛骨を骨折して本大会出場が絶望になり、さらにトゥーロン国際大会では岩波拓也(現浦和)も膝の靭帯を損傷するなど、CBの主力が相次いで負傷離脱するアクシデントに見舞われる。
それでも岩波はぎりぎり本番に間に合い、オーバーエイジを含めたそれ以外の17人のメンバーも、大きな問題なく本大会を迎えている。
「大会が始まってから、南野(拓実/現ザルツブルク)が軽い肉離れを起こしたり、浅野が踵の痛みを訴えたりしましたが、いずれも軽症でした。それに五輪という一生に一度の舞台ですからね。本人がやれるというのであれば、あえて精密検査はしないようにしたんです。そこはJリーグの試合とは違うところですよね」
リオ五輪では、ナイジェリアとのグループリーグ初戦を激しい打ち合いの末に落としたものの(4-5)、続く第2戦は強豪コロンビアと2-2のドロー、最終戦はスウェーデンに1-0の勝利を収めた。しかし、コロンビアに勝点1及ばず、決勝トーナメント進出を逃している。