ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
メッシに脅迫で試合中止、主力離脱。
アルゼンチンは混乱を越えてW杯へ。
posted2018/06/16 08:00
text by
藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia
photograph by
Getty Images
いよいよ開幕したW杯ロシア大会。ホルヘ・サンパオリ監督率いるアルゼンチンは、初戦でW杯初出場となるアイスランドと対戦する。
アイスランドと言えば、やはり一昨年の欧州選手権での躍進が記憶に新しい。当時はアルゼンチン国内でも話題になり、小さな国が一丸となって代表チームを応援する姿に心を打たれたサッカーファンも多かったため、なんとなく(勝手ながら)親しみを感じる対戦相手というイメージがある。
とはいえ向こうは、優勝経験があり、前回大会の準優勝国でもあるアルゼンチン相手にジャイアントキリングを起こそうと高めのモチベーションで挑んで来ることがほぼ確実。サンパオリ監督は直前のキャンプで試行錯誤を繰り返し、初戦の先発メンバーの選定を入念に行なった。
波乱のスタートは正GK候補ロメロの負傷。
このように書くと、アルゼンチンがいかにも予定通り順調に準備を進めて来たかのような印象を与えるが、決してそうではない。
今大会ほど、アルゼンチンが直前になりピッチ外の問題に次々と直面したケースは、ざっと考えても過去20年で一度もなかっただろう。あのディエゴ・マラドーナが代表監督を務めていた時でさえ、W杯に出場する選手が発表されたあとでチームの周辺がこんなにも予想外の出来事で騒がれたり、振り回されたりすることはなかった。
波乱のスタートは、これまで不動のレギュラーGKとされてきたセルヒオ・ロメロの負傷欠場が決まった時だ。サンパオリ監督が23人のメンバーを発表した翌日、2カ月前に負った膝の怪我が再発したことが発覚。北京五輪で共に金メダルを勝ち取ったおよそ10年来のチームメイトたちも落胆の色を隠せず、グループのリーダー格であるハビエル・マスチェラーノは自身のSNSを通じてロメロを激励する言葉を送った。