サッカー日本代表 激闘日誌BACK NUMBER
ジャーナリスト木崎伸也が目撃した激闘の瞬間
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byJMPA
posted2018/06/01 10:00
後半39分、ニールのロングスローを川口とケネディが競り、こぼれ球を4番ケーヒルが押し込み、同点。魔の8分間が始まる。
準備期間や試合数でなく、学ぶ姿勢が重要。
日本は2006年ワールドカップ直前、ジーコ監督から戦術の細かい指示がないことに選手たちが痺れを切らし、自分たちで「前からボールを奪いに行くか」、「引いて守るか」を決めようとした。だが、意見がまとまらないまま初戦を迎え、その齟齬が弱点となり、敗戦によってチームがバラバラになってしまった。
ヒディンクは2005年7月にオーストラリア代表の監督に就任したため、チーム作りの時間は限られていた。だが、あえてAマッチウィークに親善試合を組まず、集中的に2部練とミーティングだけを行い、フィロソフィーを浸透させた。
チームの完成度は、時間をどれだけ過ごしたかではなく、時間をどう過ごしたかにかかっているのだろう。
ドイツは2014年ワールドカップブラジル大会に臨むにあたって、過去に南米で開催されたワールドカップを徹底的に分析し、「自分たちのサッカーにとらわれすぎない」という結論に至った。そして失点のリスクを抑えたバランスを重視した戦い方を選び、欧州のチームとして初めて南米の地でワールドカップ王者になった。
ワールドカップで勝つためには、過去に学ぶ必要がある。
「カイザースラウテルンの悲劇」は、日本がワールドカップに臨むたびに思い出されるべき試合だ。