球道雑記BACK NUMBER
安田尚憲、ロッテの二軍で修行中。
ドラ1先輩・平沢大河の助言とは。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/05/27 11:30
オープン戦初安打はサヨナラ打だった。キャンプ中から4番を任されるなど期待は大きい。
小学生ファンに安田が取った行動。
平沢が言う「軸」は、技術だけではなく、心にもしっかりあるようだ。
ある日の試合後のこと。ロッテ浦和球場をあとにする安田に、サインをもらうためファンが長い列を作って待っていた。安田はファン1人ひとり丁寧にサインに応じた。
列がようやく途切れて、室内練習場へ再び歩を進めると、列に並び損ねてしまったのか、目の前に小学生くらいのファンが、もじもじと父親らしき人物と何かを話している姿が飛び込んできた。
すると、安田は少年に優しい目線を送って、声をかけやすい雰囲気を自分から作った。
少年が意を決して安田のもとへ走る。
「安田さん、サインお願いします」
「はい!」
安田も快く、少年の要望に応えた。
野球だけじゃなく、人としても尊敬される人物へ。安田が心がけていることである。この少年にとっても、きっと生涯忘れることがない思い出になっただろう。
「子供に優しいね」
そう彼に声をかけると照れくさそうに笑った。
「いやあ、そんなんでもないですけど」
こう言って、バットを片手に室内練習場に足を踏み入れた。
そして数日前にも見た、あの弾丸のような打球をまた目の当たりにした。前述の少年が球場でこれを見たらどう感じるのだろう。
そうだ! 次は球場で沢山の人に夢を与えよう。
その瞬間が来るのを幕張にいる沢山のファンがきっと心待ちにしている。