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母親に叱られるほど気弱な青年監督。
サウスゲイトはW杯で母国再建なるか。

posted2018/05/26 09:00

 
母親に叱られるほど気弱な青年監督。サウスゲイトはW杯で母国再建なるか。<Number Web> photograph by Getty Images

ここ近年国際大会で力を発揮できないイングランド。サウスゲイト監督のもと、新世代が躍動できるか。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 ワールドカップ・イヤーの夏は、イングランドにとっては4年周期で訪れる「期待外れ」の夏でもある。

 客観的に見れば、長らく過度の期待を背負ってきた母国代表は、1966年に続く2度目のW杯優勝を実現できていない。さすがに前回大会は、国民も育成レベルからの復興と世代交代の必要性を理解していた。その現実は最下位でのグループステージ敗退……。過去最低レベルだった世間の期待を、さらに下回った。

 しかし、今夏のロシア大会に臨むイングランドでは、代表監督のガレス・サウスゲイトが、良い意味で期待を裏切っている。

 2年前の就任時、新監督への評価と期待は芳しくなかった。U-21代表監督からの昇格は「然るべき人選」と言われた一方で、ただ一つの説得材料だとも思われた。

 トップレベルを率いた監督経験は、2006年から3年強のミドルズブラ時代のみ。当時クラブはスティーブ・マクラーレンを代表監督に引き抜かれた状況で、35歳の元代表DFは、フロントの要請に応える形で指揮を執った。しかし最終的にはプレミアリーグからの降格、翌年には2部リーグでの解任という運命が待ち受けていた。

EURO1996でのPK失敗を母に叱られる。

 2016年の代表監督就任に際しても、当初は自ら「時期尚早」を匂わせていた。暫定指揮とされた4試合は、雇い主のFAではなくサウスゲイト自身がポストに就く意を固めるための試用期間だった。その経緯もあって、イングランドで最も困難だが最大の誇りとも言われる任務に就くには、気骨が足りないと思われた。

 実は筆者も、現役当時から「頭脳派DF」と言われたサウスゲイトに「弱気」なイメージを抱いていた。真っ先に思い浮かべるエピソードは、EURO1996敗退を招いた代表でのPK失敗でのこと。母親に「なんで思い切り蹴らなかったの?」と叱られたほどの、覇気のない一蹴りだった。

 あれから20年の歳月が流れた。とはいえドン底とまで言われた状況から復興への舵を取る代表監督を任せることに、不安を覚えたものだ。

 ところが現実のサウスゲイトは、毅然とした態度でロシアW杯への準備を進めている。

【次ページ】 ケインは同国史上最年少のW杯主将に。

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