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3つの意味を持つジェラードの監督就任。~スコットランドから来たオファーに「特別なものを感じた」~
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2018/05/28 15:00
来季から指揮を執る37歳の若き指揮官。契約期間は4年。レンジャーズは今季国内リーグ戦37試合消化時点で3位。
一本の電話がアンフィールドに鳴り響いた。4月下旬のことだ。
スティーブン・ジェラードを監督として迎えたい――。それはグラスゴー・レンジャーズからの連絡で、リバプールの幹部はすぐに当時U-18の監督を務めていたジェラードに伝えた。彼は即答したという。
「つないでください」
ジェラードがレンジャーズの監督に就任することが決まった。いわく、「引退後、監督、第二監督、コーチなど8つの誘いを受けたけど、レンジャーズには特別なものを感じた」。
ファンも若き指揮官に特別な何かを感じている。アイブロックス・スタジアムでのお披露目には平日にもかかわらず7000人のファンが駆けつけ、あまりの喧騒に警察は近辺の道路を封鎖した。スコットランドサッカーにとってもジェラードの存在は大きなプラスだ。中村俊輔がセルティックでプレーしていた10年ほど前、同リーグは黄金期にあり、2強がCLラウンド16に進出することも珍しくなかった。しかしその後の低迷期から抜け出せず、レンジャーズに至っては経営破綻で4部から再出発したほどだ。レンジャーズのキング会長は「ジェラードのファンは中国にも、タイにも、インドネシアにもいる。誰もが彼の監督としての初挑戦に注目する。この国のサッカーにとっても大きなこと」と自負する。