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アーモンドアイの一強体制が完成!
オークスを制し、牝馬三冠も目前だ。
posted2018/05/21 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
年を追うごとに日本の競走馬全体のレベルが高くなっており、そのぶん飛び抜けた馬は出づらくなっているはずだ。
なのに、どうしてこれほど突出した能力を持った馬が現れるのだろう――と不思議になるほどの走りを、第79回オークス(5月20日、東京芝2400m、3歳牝馬GI)で、1番人気のアーモンドアイ(父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)が見せてくれた。
速いスタートを切ったアーモンドアイは、内の馬と接触してエキサイトしたのか、正面スタンド前ではやや掛かり気味だった。それもあって、桜花賞のように後方に待機するのではなく、好位6、7番手の外目につけて1コーナーに入って行く。
折り合いがついたのは、向正面に差しかかったころだった。鞍上のクリストフ・ルメールが手綱を引っ張り切りの、抜群の手応えで進んでいる。
1馬身ほど前の内には2番人気のラッキーライラックがいる。
道中アーモンドアイは、好位のラッキーライラックから大きく離れた後方につけると思われていた。が、実際には、互いの姿がつねに視界に入るほど近くなった。
これは、アーモンドアイにとって、ライバルをつねに射程に入れておく理想的な位置取りなのか。だとしても、前目のポジションをとるために脚を使ったぶん、最後の瞬発力が鈍る恐れもあるのではないか。
楽な手応えで直線に、そして。
場内に、不安のどよめきが聞こえ出した。
しかし、そのどよめきは、アーモンドアイが楽な手応えのまま直線に入ったころには歓声にかき消されていた。
先頭から7、8馬身離れた外から、国枝厩舎所属馬の目印でもあるシャドーロールをリズミカルに上下させ、アーモンドアイが伸びてくる。
桜花賞ほど頻繁ではなかったが、2、3度手前を替えながら加速する。
ラスト200mあたりからルメールの左ステッキが2発ずつ、2度入った。これは、前に進ませるための鞭ではなく、内に切れ込もうとしたのを修正させるための鞭だった。
最後まで伸び切ったアーモンドアイは、2着を2馬身突き放してフィニッシュ。2012年のジェンティルドンナ以来、史上14頭目の牝馬クラシック二冠馬となった。