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ベンゲルの育成力はいつ錆びたのか?
アーセナルで潰れた有望選手たち。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byPierre Lahalle
posted2018/05/01 11:00
何度かの怪我に襲われたジャック・ウィルシャーだが、今季は好調。だが、6月の契約更新をまだ了承していない。
クロップが復活させたアーセナル出身選手も。
根強く存在するクラブの医療体制への批判を別にすれば、問題にされるべきは若手に対する過保護な扱いであり、若いうちから過度のサラリーを支払っていることであり、原石を本物のダイヤモンドへと研磨するための(サッカーへの理解も含めた)監督やコーチの的確なアドバイスの欠如なのであろう。
ユルゲン・クロップがアレックス・オクスレイドチェンバレンに与えた影響と現れた効果の早さを見れば、それは明らかである。昨季にリバプールへ移籍した24歳のオクスレイドチェンバレンは、彼が19歳のときに人々が想像し期待した姿にようやくなれたのだから。
93年間愛されてきたスタジアムのハイベリーからエミレーツ・スタジアムへの移転を決め、経済的要因が他の何よりも優先されるようになったときからアーセナルは、若手の将来性に賭ける以外にクラブを強化する方法を失くしてしまった。だが、その賭けは、あまりに勝てる確率の低い賭けだったと言わざるを得ない。
過去、期待されていた選手たち。
<1> カール・ジェンキンソン
2011年に140万ユーロで移籍してきたジェンキンソンは、チャールトンのアカデミー出身である。バカリ・サニャの負傷によりトップデビューのチャンスを掴み、翌年には契約を延長したが、その後は2014~16年ウェストハムにレンタル移籍。怪我によりアーセナルへの復帰が遅れ、2017-18シーズンはバーミンガムに貸し出されたが、ここまで7試合しか出場していない。
<2> キーラン・ギブス
15歳からクラブのユースチームに所属した左SBのギブスは、2010年にはファビオ・カペッロによりイングランド代表に招集された。アーセナルで最も活躍したのは2013-14年シーズン(23試合先発出場)で、その後はナチョ・モンレアルの加入でポジションを失った。現在はウェストブロムウィッチにてプレー。