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シャルケvs.ドルトは“ビール劇場”。
ダービーの一体感と麦芽に酔う!
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2018/04/27 07:00
試合後にはシャルケのテデスコ監督(中央)がマイクを持ち、ファンとともに声を挙げる場面も。
両サポーターのせいで電車が遅延?
4月15日、ゲルゼンキルヘンへ行ってきました。試合当日、余裕を持って自宅のあるフランクフルトを出発したのですが……電車が遅れているではないですか! スタジアムに着いたらいろいろ観察したい場所があったのに、結局、ゲルゼンキルヘン中央駅に降り立ったのは試合開始30分前。すでに構内は閑散としています。
初めての場所なので中央駅からスタジアムまでの行き方が分からず、駅で佇んでいる警察の方に聞くと、「ん? ああ、スタジアムまではUバーン(地下鉄)に乗ればいいよ。その階段を降りてみて」と。
だけど、何だか相当お疲れの様子。「どうしました?」と聞くと、「いやー、さっきまで大変だったんだよ。シャルケとドルトムントのサポーターが鉢合わせしそうになってさ。大声でコールを浴びせあって、もう大変。連中がやっとスタジアムへ向かったから、やっと休めるってわけさ」とのこと。なるほど。だから警察の皆さん、総じて放心状態だったのです。
やっぱり、レビアダービーの熱狂度は凄まじいのだな。ドキドキワクワクしながら、Uバーンに乗ってスタジアムへ向かいました。
命名権は地元に醸造所を持つビール会社。
ゲルゼンキルヘンでのレビアダービーに憧れていたのは、シャルケのホームであるフェルティンス・アレナが、ビール好きにとって最高の場所だからです。
ネーミングライツを持つ「フェルティンス」は地元に醸造所を持つビール会社で、2005年にスタジアムの命名権を獲得。昨年、2027年まで契約を延長しました。シャルケのマーケティング担当であるアレクサンダー・ヨブスト氏は、フェルティンス社との契約延長に際し、こんな言葉を残しています。
「早い段階での契約延長というのは、長期的かつ信用性ある我々との取り組みがいかなるものかを強調していると思う。そして、それは我々のファンによって支えられている部分が非常に大きなものだ」
「我々のファンによって支えられている」。つまり、スタジアムへ訪れるファン・サポーターが大量にスポンサー様のビールを愛飲することで、このクラブの経営は成り立っているのです、極論。