One story of the fieldBACK NUMBER
年齢を重ねることで手に入れたもの。
タイガース福留が語る対菅野の裏側。
posted2018/04/20 07:00
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph by
Kyodo News
開幕から一進一退が続いているタイガースだが、4月18日時点で貯金1はオープン戦最下位だったことを考えれば上々と言えるだろう。特に巨人・菅野智之から5点を奪った今季のオープニングゲームはハイライトと言える。そして、そんな1カ月の立役者が福留孝介だ。
3月30日、東京ドームのマウンドには巨人の、球界のエース菅野が立ちはだかっていた。初回を3人で片付けると、2回も新外国人ロサリオを打ち取って、1アウト。ここで福留と向かい合った。
「じつは、あれは空振りしたのが良かった。全然ダメだなって思ったのが良かったんだ」
福留はこの打席で飛び出す菅野攻略の突破口となる一打について、こう明かした。
スイングを修正して、叩くように一閃。
初球。外のボール球を見極めた福留は、2球目の内角スライダーを強振した。新しいシーズンで、最初にきたストライクに対してフルスイングしていくのは、これまでもずっと貫いてきたスタイルだが、この打席でも、その1スイングがいろいろなことを教えてくれたという。
「あの空振りはバットが下から出ている感じで全くダメだった。でも、(バットを)振らなければそういう感覚もわからない。それで次の球は上から叩こうというイメージでいたら、ちょうどいい球がきたんだ」
スイングの感覚を修正して、打ちにいった3球目は外角高めのストレート。上から叩くように出したバットにどんぴしゃりの打球は、左翼ポールを直撃する先制ソロホームランとなった。
狙い澄ましたような1発に、開幕の緊張感は吹き飛び、順調な立ち上がりだったマウンドの菅野に狂いを生じさせた。
そこから2年目コンビの大山悠輔、糸原健斗が続き、この回、さらに1点を奪った。今、リーグで最も難攻不落といわれる右腕を打ったのだ。