若い頃はなくて、40代の自分にあるもの。

　バットがクルッと宙に舞う美しい振り抜きも、圧倒的な飛距離もかつてのようにはいかない。それでもそれを補い、全体を支配するような力がある。

　若造には到底、持ちえないそれは、福留自身も年齢を重ねていく中で手に入れたものだろう。若い頃の自分にはなくて、40代の自分にあるもの。これは野球界だけでなく、すべての世界に通じることかもしれない。

　年齢という「物差し」がいかにあやふやなものか。筆者は同世代ということもあって、思い入れてしまう部分もあるのだが、この世界でベテランと呼ばれるようになった選手たちが、今のプロ野球を取り巻く風潮に一石を投じてほしいという気持ちにもなる。

　そういえば、4月生まれの福留はもうすぐ41歳だ。