プロ野球亭日乗BACK NUMBER
大谷翔平、漫画超えの完全試合未遂。
「人生で最高か」と聞かれて答えは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2018/04/09 12:10
3試合連続本塁打に6回までパーフェクトピッチング。大谷翔平は今、特大のインパクトを残している。
初被安打にも「特に何もなかったです」。
だがその直後、セミエンの3球目だった。
この試合で大谷が投じたちょうど80球目。真ん中寄りに甘く入った154キロのフォーシームが左前に弾んだ。
一瞬のどよめき。だが、次に球場を包んだのは落胆ではなく、むしろここまでドラマを作った23歳に対してのリスペクトだった。
球場はエンゼルスファンだけではなく、オークランドファンが陣取る一塁側スタンドも含めて拍手と歓声のスタンディング・オベーションに包まれた。
「来るときが来たというだけで、特に何もなかったです」
当の大谷はその瞬間をこう冷静に振り返る。
次の打者に四球を出したのが反省点。
続くローリーにストレートの四球を与えて一、二塁とピンチが広がる。しかし、ここでスライダーとスプリットがその威力を発揮した。
続く4番のデービスをスライダーで投ゴロ。さらに5番のオルソンをフルカウントから142キロのスプリットで空振り三振に仕留めると、マウンドで渾身のガッツポーズを披露した。
「初回から抑えている中で、(打たれたら)しっかり次のバッターを抑える準備をしたいなと思っていた。そういう意味では次の打者に四球を出したのが今日の悪かったところで。ただ、結果的に最後の球が一番いいところに決まってくれた。準備していてよかったと思います」
大谷は振り返った。
7回91球を投げて1安打1四球で奪った三振は全部で12。無失点での2勝目はこうして決まった。