プロ野球亭日乗BACK NUMBER
大谷翔平、漫画超えの完全試合未遂。
「人生で最高か」と聞かれて答えは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2018/04/09 12:10
3試合連続本塁打に6回までパーフェクトピッチング。大谷翔平は今、特大のインパクトを残している。
「5回にヒットを打たれていないな、と」
その言葉通りに、スプリットがこの日の投球のカギを握った。2回以降も前半はカウント球から追い込んでの決め球と要所でスプリットを多投したのだ。
2回、3回も三者凡退でアスレチックス打線を退ける。地元テレビの中継がスコアボードの安打数を映し出したのがこの頃だ。
「5回ぐらいにヒットを打たれていないなというのは思っていました」
そこから大谷はさらにシフトアップする。4番で指名打者のクリス・デービス外野手から5番のマット・オルソン内野手、6番のマット・チャップマン内野手をまたも3連続三振斬り。
この頃から球場には、いやがうえにも記録を意識したムードが漂い出していた。
6回から敢えてスライダーを多投した。
その中で6回から大谷の投球内容は少し変化する。
5回を終えて打者15人に65球を投げたが、4割強の28球がスプリットという投球内容だった。しかし6回は多投していたスプリットを封印。あまり制球が定まっていなかったスライダーを多めに使って、3人の打者を切って取った。
「いろんな意図はあります。スプリットは僕の特長の球なので、悪くても使わなくてはならない球。それはスライダーも同じです。いつも試合の中でいい状態にもっていけるように努力してきたいなと思ってやっています」
もちろん目の前の打者1人ずつ、1イニングを抑え切るということが、マウンドでの使命である。
ただ、その中でいかに次の打者、次の回、そして次の登板につなげていけるか。そのためには悪くても球種を封印するのではなく、いかに効果的に使って、次へと生かしていけるか。試合の中でも工夫をしながら、打者を押さえ込んでいった。
そして7回、先頭のジョイスにストレートを合わされて中前に抜けようかというライナーを打たれる。この当たりに一瞬、球場がざわついたが、これはうまく内野陣のシフトに引っかかって遊直となった。