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ユーベは2大タイトルを獲れるか。
セリエ最高指揮官アッレグリの勝算。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/04/03 18:15
CLとリーグ制覇を目指すアッレグリ。セリエAでは史上初7連覇へ、4月22日(日本時間)の第34節で2位ナポリと直接対決を迎える。
レアル戦も「嬉しくてたまらない」。
CL準々決勝でレアル・マドリーとの対戦が決まったとき、指揮官アッレグリは何を思ったか。
「日々練習を重ね労力を費やすのは、こういう大事な試合を戦うためだ。彼らの方に分があるのは間違いない。だが、世界最高の相手とやれるのだ。嬉しくてたまらない」
言うまでもなく、レアルは昨季CLファイナルで1-4の完敗を喫した因縁の相手だ。カーディフでの大敗はユーベにトラウマを残し、一時代を築いたチームからDFボヌッチ(現ミラン)とDFダニ・アウベス(現パリSG)が去っていった。4年目の続投に臨んだアッレグリはチームの再構築を迫られた。
今季は長年の“勤続”疲労がたたった主将ブッフォンだけでなく、若いFWディバラやFWクアドラドらにも筋肉系故障が発生し、長期離脱者が続出した。
アッレグリはMFダグラス・コスタやMFマテュイディといった欧州トップクラスの新戦力を順応させ、GKシュチェスニやDFベナティア、DFアサモアといったリザーブ・メンバーの奮起を促し、チーム力の底上げを図っていった。
ジダンも古巣を全力で叩き潰しに来る。
「ユーベとの対戦はつねに私にとって特別だ。できればぶつかりたくなかったが、昨季(の決勝戦)と同様やり辛い試合になるだろう。勝機は五分五分だ」
大会3連覇を目指すレアルの指揮官ジダンは、かつて5シーズンを過ごした記憶に敬意を払いつつ、古巣を全力で叩き潰しに来るだろう。
ユーベを率いて4年目のアッレグリにとっても、今大会は正念場だ。指導者個人としてスクデットとコッパ・イタリアのダブル3連覇という偉業を成し遂げてはいるが、CLファイナルで2度敗れた悔しさは、あの“ビッグイヤー”を獲らないことには決して晴れないのだ。
春爛漫のこの時期に、CLとセリエA、そして国内カップ戦すべてにタイトル獲得の可能性を残していること自体、アッレグリの手腕は称賛されて然るべきだが、彼には苦い過去がある。
ここ5年間、イタリア半島では29節終了時点でスクデットの趨勢がもう決まっていた。アッレグリがユーベ監督に就任して1年目の'14-'15シーズンに至っては、2位ローマに14点もの圧倒的大差をつけていた。
ただし、6年前の'11-'12シーズン、同時期に首位にあった前年王者ミランは勝点4のリードを守りきれず、スクデットを逃した。そのとき、闘将コンテ(現チェルシー)率いるユーベに逆転を許し、連覇に失敗したミラン監督こそアッレグリだった。