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ユーベは2大タイトルを獲れるか。
セリエ最高指揮官アッレグリの勝算。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/04/03 18:15
CLとリーグ制覇を目指すアッレグリ。セリエAでは史上初7連覇へ、4月22日(日本時間)の第34節で2位ナポリと直接対決を迎える。
ナポリっ子たちは思わず小躍りしたが。
ナポリっ子たちが小躍りしたのも無理はない。
約200km離れたナポリのサン・パオロで、20時45分から始まるローマとの大一番を今か今かと待っていた彼らは、スマホ画面でユーベの苦境を眺めながらご満悦だった。“ローマにも勝てば勝点差は6だ”――と楽観的な皮算用を弾いていた。
だが、ユベントスは死ななかった。
午後8時を回ろうとする頃、ナポリっ子たちの浮かれ気分は一瞬で凍りついた。
タイムアップ寸前のオリンピコで、93分にユベントスFWディバラが劇的な決勝ゴールを叩き込んだからだ。
このとき、ユーベに残ったのは首の皮一枚ではなかった。
逆転タイトルの可能性への確信だった。
「ラツィオ戦でシーズンの趨勢が変わった」
DFデシーリオがロッカールーム全体を代弁する。
「ディバラのゴールと勝点3がチームの心理面に与えた影響は大きい。皆の『スクデットは獲れる』と信じる気持ちがもう一度強くなった」
「一戦ごとに理性的に計算していく」
ユーベ執念の一撃によって、ナポリは明らかに動揺した。直後のローマ戦を2-4の完敗で落とし、翌週11日にも難敵インテル相手に引き分けた彼らの勝点は、28節終了時点で70に留まった。一方、ユーベはウディネーゼをディバラの2発で粉砕し、ついに勝点71で上回った。
ポイントリーダーの座を奪い返した王者ユーベは、その勢いで14日に延期されていたアタランタ戦にも連勝。10日間あまりで順位表と心理的優位を完全にひっくり返した。
直後のスパル戦でまさかのスコアレスドローも、先週末のミラン戦に3-1で快勝。サッスオーロに引き分けたナポリを尻目に勝点78を積み上げ、勝点差4をキープする。
「残りは8試合。スクデットを獲るためにはその内7試合で勝つ必要がある。一戦ごとに理性的に計算していく」
かつての教え子ガットゥーゾ率いる古巣に勝っても、余韻に浸る時間はない。指揮官アッレグリには、3つのコンペティションが残っているのだ。