私生活で奔放、仕事場では冷徹。

　今季の残り8試合にはナポリとの直接対決も、激戦必至のローマとインテル相手のアウェーゲームもある。智将ならずとも、勝点4差程度では決してセーフティリードといえないことは自明のはずだ。

　4年前に前監督コンテが樹立した勝点記録「102」に並ぶ可能性についても「ナポリより1つでも勝点が多ければそんなものどうでもいい」とにべもない。

　イタリアで最も優れた指揮官には、最もプレッシャーがかかるはずだ。それでもアッレグリは悲壮感を漂わせることがない。

　如才がなく、ウイットに富んだ言い回しやジョークで相手を煙に巻き、正体を掴ませない。有名女優と浮名を流し、バカンスや街角でパパラッチからプライベートを晒されても意にも介さない。

　私生活がどれほど奔放であれ、いざ仕事場に入ればアッレグリが当代随一の冷徹なプロであることは、同業者たちが一番よく知っている。

「シーズンのクライマックスだよ。晴れやかな気分で立ち向かうことが大事だ」

　ユベントスの智将はよほど肝の据わった男だ。

　アッレグリの挑発に、ジダンとサッリはどう応えるだろうか。