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大学最後のシーズンを終えた渡邊雄太。
夢のNBA入りを目指しチャレンジは続く。
posted2018/03/15 17:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
終わりのときは、突然やってきた。
ジョージワシントン大4年の渡邊雄太にとって、3月7日から始まったA10カンファレンス・トーナメントは、負けたらそこで大学キャリアが終わる大会だった。渡邊自身も、毎試合、その覚悟をもって挑んでいた。それでも、誰も思っていなかったタイミングで、目の前にフィニッシュラインが現れた。
そのとき、試合の流れはジョージワシントンに傾き始めていた。
3月8日、2回戦の対セントルイス戦。後半残り8分55秒で渡邊が3Pシュートを沈めて同点。その後、お互いに決める一進一退の攻防のなかで、渡邊は相手のパスをスティールし、速攻に走った。前後を走るディフェンスをかわしてシュートに跳ぼうとしたその瞬間、バランスを崩し、床に倒れた。前日の試合でも捻挫した足に痛みが走った。ゲームクロックは7分45秒を表示していた。
結局、渡邊の大学キャリアはそこで終わった。
何とか試合に戻ろうとテーピングを巻きなおしてもらったが、裏の通路で跳ぶことも、走ることもできなかったのだ。
「終わった――」
ベンチでそう思った瞬間、目から涙がこぼれ、ユニフォームの襟を引き上げて顔を隠した。
4年間、ずっと目標としてきたNCAAトーナメントに手が届かないままで、最後の試合の試合終了のホーンが鳴るまでもコートに立つこともできなかった。試合後の囲み取材でも、話しながら時々、言葉を詰まらせ、ほほを涙がつたった。それだけ、自分のすべてをつぎ込んだ4年間だった。
それから4日後、渡邊に電話で話を聞いた。
怪我は思った以上に早く回復している。
──まず、一番気になる故障の状態を教えてください。試合直後にはX線では異常がなく、捻挫とのことでしたが、あの後、さらに検査をしたのでしょうか?
「あのときのX線だけです。ドクターが診てくれて、骨などには異常なかったんで。当然、毎日ケアはしてはいます」
──全治どれぐらいと言われていますか?
「トレーナーから“several weeks(数週間)”と言われたので、正確にはわからないんですけれど、この数日で思ったより早く回復しているので、あと2週間ぐらいあれば、多少ワークアウトはできるぐらいまで回復するかなと思っています。ただ、完治までだとまだしばらくかかると思います」