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大学最後のシーズンを終えた渡邊雄太。
夢のNBA入りを目指しチャレンジは続く。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2018/03/15 17:00
大学最後のシーズンはエース、そしてリーダーとしてもプレー。周りの期待に応えてきた。
2年時は、DFに自信が持てたきっかけが。
──2年のときは、チームの戦力も揃っていて、大学4年間の中で一番達成感があったシーズンだったのではないでしょうか。成績も28勝10敗と好調で、シーズン途中に全米ランキングにも入ったり、強豪バージニア大にも勝ちました。NCAAトーナメントにこそ出られなかったけれど、NITに出て優勝で締めくくれたシーズンでした。このシーズンでのターニングポイントはどこだったと思いますか?
「2年生のときは、当然、あの年の強豪だったバージニア大やシートンホル大に勝ったりしたことも印象に残っているんですけれど、何といってもNIT2回戦のモンマス大戦です。
それまでの僕は、まだディフェンダーとしてコーチの信頼を得られていなかったと思いますし、上級生にディフェンス能力が高いパトリシオ・ガリーノがいたので、彼が疲れたときに『(手足が)長くて動ける雄太をちょっと教育がてら使っておけばいいか』くらいの感覚で使われていたと思うんです。でも、モンマス大戦では最初から僕が相手のエース(そのシーズンに平均19.3点をあげ、所属のMAACカンファレンスのMVPを受賞したジャスティン・ロビンソン)のディフェンスを任された。
実はヘッドコーチは、後半に入って彼がエンジンかかりだすのを心配して、ハーフタイムには、後半からパトリシオをそのエースの選手につけようとしたんですけれど、そのときのスカウティング担当が今のヘッドコーチのモージョー(モリス・ジョセフ)で、モージョーが、『いや、雄太のままで大丈夫だ』と説得してくれて、そのまま最後まで僕に任せてもらえたんです(その結果、この試合で渡邊はロビンソンを僅か6点に抑えている)。
自分自身も、あの試合は本当にすごく自信になりましたし、世間的にも僕がいいディフェンダーとわかってもらえた試合だったと思います。今シーズン、A10のディフェンシブ・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーに選んでもらいましたけれど、それもあの試合があったからこそだと思っています」
3年のとき、リーダーとして記憶に残ったこと。
──小さい点取り屋のガードをマークして、抑えることができるという、自分のアイデンティティが確立できた試合でしたよね。
「本当にその通りで、ひとつ大きな武器、これだけは譲らない、これなら勝負できるという武器がひとつできた。もしかしたら、大学4年間の中で、僕にとって一番大きな試合だったかもしれないです」
──3年のときは、その前の夏にチームとして日本に遠征して、遠征から戻った後、シーズン直前になってコーチ交代というゴタゴタがあって。頼りになった、その前のシーズンの4年生選手たちが卒業していなくなり、リーダーの1人としてやらなくてはいけなくなったなかでの波乱のスタートでした。終盤に連勝したことで、CBIトーナメントに出場でき、成績的にも、最終的に20勝しましたが、それでも苦しいことも多かったのではないかと思います。このシーズンだと何を一番思い出しますか?
「3年生のときに思い出に残っている試合は、これは悪いほうなんですけれど、ホームでのVCU戦です。残り0.4秒で逆転3Pシュートを決めて、完璧勝ったと思ったのに負けた試合。僕もゲームウィナーを決めるのは初めてだったので、かなり嬉しくて。それが、完全に勝ち試合だと思っていたら、スローイン前に(チームメイトが)ファウルを取られ、フリースローを決められて負けるというまさかの試合。うまくいかなかったシーズンだった上に、そんな負け方で、あの時はメンタル面でも相当きつかったです。
3年になって自分も新しい役割が増え、精神的には今までには全然経験したことがない、新たな感情、プレッシャーを感じていました。そういうシーズンでした」