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上原浩治復帰は菅野智之にも好影響!
黒田とマエケンのような関係性に。
posted2018/03/12 11:45
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
シカゴ・カブスからフリーエージェントとなっていた上原浩治投手の古巣・巨人への復帰が、9日決まった。
「正直なところメジャーでの契約をずっと待っていた。あまりいい話がないところにジャイアンツの方から話を頂きましたので、こちらから『お願いします』という話をしました」
入団会見でこう語った上原は、他球団からの話もある中で、最終的に古巣を選択したことも明らかにした。
巨人が上原獲得に動いている。そんな情報が流れたのは、昨年のオフのことだった。
しかし、その時点ではまだ上原にメジャーからオファーがある可能性が高く、本人も「あと1年、メジャーでやりたい」と語っていた。上原の中で日本球界復帰は選択肢としてはなかったのである。
ところが、そこから予想もしない展開が待っていたわけだ。メジャーのFA戦線が異常ともいえる停滞を見せて、80人余の選手の行き先が決まらず宙ぶらりんとなっていた。上原の昨年の同僚で、2014年からの4シーズンで64勝をマークしたジェイク・アリエッタ投手すら、遅れに遅れてこの11日まで決まらなかったほどなのだ。
巨人復帰はベストではないはずだが。
そこで上原を取り巻く状況も一変した。
移籍先が決まらず、揺れる上原の心を動かしたのは以前から熱心に接触してきていた巨人だった。巨人の努力と、上原の気持ち、そしてタイミングが絶妙にマッチした。それが今回の復帰劇の真相だったわけである。
「野球がやりたい」
上原は会見で率直な気持ちを吐露した。
はっきり言えば、巨人復帰は上原にとってはベストな選択ではなかったはずである。
「開幕後でも5月くらいまで我慢できれば、中継ぎ不足のチームからメジャー契約の話もあったのではないか」
米国のメディア関係者の間では、そういう声があるのも事実だ。
しかし決断のカギは何よりも、また今年もマウンドに立つことだった。メジャーを諦めるという決断によって、新たな舞台として日本の、巨人というチームを得たわけである。