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上原浩治復帰は菅野智之にも好影響!
黒田とマエケンのような関係性に。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/03/12 11:45
背番号は「19」から「11」に変わった上原浩治。メジャー帰りの投球術に、高橋監督も期待する。
緒方監督が話した「黒田みたいな……」。
こうした戦力的補強も他球団からみれば脅威だが、もう1つ、上原の加入には、目に見えない相乗効果が出るという声もある。
緒方監督は、むしろその点に警戒感を募らせていた。
「向こう(メジャー)であれだけの実績を残してきた投手。黒田みたいにね、チームに与える影響力も大きいだろう」
2015年にメジャーから広島に復帰したこのレジェンドの存在の大きさを、一番、知っているのは緒方監督だ。
「もちろん事あるごとに、彼は彼なりの考えを選手に話してくれて、それが投手陣だけでなく、チーム全体にとっても大きなプラスになった。ただ、何も言わないでも、彼がいること、存在自体がチームにとっては一番、大きな力になった」
黒田の存在感の大きさ、チームに与えた影響を緒方監督はこう語っている。
当時のエースだった前田健太投手も、黒田の加入で様々な意味で助けられたと振り返っている。
菅野の背負うものが大きくなり過ぎた。
それは巨人と上原の関係にも当てはまることだった。
巨人の今の投手陣を俯瞰する。長くピッチャーのリーダー役だった内海哲也投手の力が衰えて、ここ2、3年は一軍にいることも少なくなっている。代わって投手陣をまとめるのがエースの菅野智之投手だ。
菅野は今や誰もが認める巨人投手陣のリーダー役だ。ただ、その一方でエースとリーダーとして、あまりに背負うものが大きくなり過ぎているのも事実だった。
そこに経験豊富なベテランが加わった。
上原は巨人で10年間プレーして、チームの流儀は十分に理解している。その上、メジャーで修羅場をくぐってきた経験がある。
おそらく上原が自分から積極的に前に出ることはないだろう。ただ、そこにいるだけで菅野をサポートできることは山ほどあり、それはチームにとっては大きなプラスとなるはずなのである。
その関係は、まさに黒田と前田、そして2人とチームの関係と同じものとなるはずだ。