フランス・フットボール通信BACK NUMBER
中国サッカーバブルの終焉か。
外国人選手の爆買いが激減した事情。
text by
ロベルト・ノタリアニ with ナビル・ジェリRoberto Notarianni avec Nabil Djellit
photograph bySABRIE GILLES
posted2018/03/07 11:00
中国人選手に挟まれて練習に励むアルゼンチンのラベッシ。PSGから河北華夏幸福へと2016年に移籍して、今季で3年目となる。
「贅沢税」でスター選手の移籍が頓挫した例も。
効果は劇的だった。
広州恒大を例にとると――ローマとラジャ・ナインゴランの移籍が基本的な合意に達した。だが、選手の年俸がまず1200万ユーロ、クラブに支払う違約金が5000万ユーロ、そして「贅沢税」を含めると……総額9400万ユーロに達することが判明したのである。
ひとりの選手に支払う額としては常軌を逸している。結局、ナインゴランは契約成立までには至らなかった。
同じことはピエール・エメリク・オーバメヤンやムサ・デンベレに関しても起こった。
とはいえ、まだ高額移籍を成立させた例もある。
北京国安は数週間にわたる交渉の結果、4000万ユーロでセドリック・バカンブのビジャレアルからの移籍を実現させている。
バブルは沈静化し、長期的な視野が出てきた中国。
外国人選手にとって、CSLの魅力は少しずつ薄らいでいる。
たとえばオーバメヤンは、2017年には5000万ユーロの値段がつけられていたが、今年のオフに提示された額はその半分以下であったという。
CSLにとって、これは憂慮すべき事態なのか。
前述の代理人は語る。
「今の中国を覆っているのは本物のサッカー熱だ。代表強化という中長期的なパースペクティブのもと育成に重きが置かれ、若い才能を積極的にヨーロッパに送り出そうとしている」
外国人選手の逆輸出もある。昨年夏にはパウリーニョが、4000万ユーロで広州恒大からバルセロナに移籍した。
地に足をつけた発展を目指して……中国サッカー界は新たな第一歩を踏み出したといえるのではないか。