フランス・フットボール通信BACK NUMBER
中国サッカーバブルの終焉か。
外国人選手の爆買いが激減した事情。
text by
ロベルト・ノタリアニ with ナビル・ジェリRoberto Notarianni avec Nabil Djellit
photograph bySABRIE GILLES
posted2018/03/07 11:00
中国人選手に挟まれて練習に励むアルゼンチンのラベッシ。PSGから河北華夏幸福へと2016年に移籍して、今季で3年目となる。
桁違いの移籍金で外国人選手を集めたCSL。
だが、そうした豪華な顔ぶれにもかかわらず、15年目を迎えるCSLは、話題騒然の絢爛な開幕シーズン……というには少し様相が異なっていた。
ここ数年のCSLは、選手の超大型移籍により躍進を遂げてきた。投下された資金も桁外れで、2016年12月に上海申花はカルロス・テベスに3800万ユーロの年俸を保証して世界を驚かせた。“アパッチ(テベスの愛称)”は結局2年目のシーズン開幕を前に中国を去り、彼の心のクラブであるボカ・ジュニオールへの復帰を決めてしまったのだが。
「中国で何カ月か暮らすうちに、長いバカンスを過ごしている気分になったよ」と、アルゼンチンでCSLの印象を尋ねられたテベスは答えている。
かくいうテベス自身が、プロフェッショナルとしての仕事をまっとうしない選手である、という反論はできる。マンチェスター・シティでは監督との軋轢から不遇をかこち、上海申花では初年度にわずか4ゴールしかあげていないからだ。
とは言え、他のスター選手たちは、このCSLでしっかりユニフォームを汗で濡らしている。
たとえばフッキは2017年に上海上港で17得点・12アシストの活躍を見せ、ラベッシも河北華夏幸福で20得点・15アシストを記録している。
総体として彼ら外国人スター選手たちの活躍は素晴らしく、彼らの力がCSLの発展を力強く後押ししているのは間違いない。ACLでも中国勢はこの5年間で2度優勝、ベスト4にも1回進出しているほどなのだから。
2年間、外国人選手の爆買いが続いたが……。
そうではあるものの、ここ数カ月の動きを見る限りCSLはこれまでのような派手さのない、新たな(質素な)局面に入ったような印象を受ける。
思い起こせば……2016年と2017年の2シーズンにわたっては際限のない外国人スター選手の“爆買い”がおこなわれていた。
広州恒大はジャクソン・マルティネス(アトレティコ・マドリー)に4200万ユーロを支払い、江蘇蘇寧は5000万ユーロをかけてシャフタール・ドネツクからアレックス・テイシェイラを獲得した。また上海上港はフッキ(ゼニト)の獲得に5580万ユーロ、オスカル(チェルシー)には6780万ユーロを支払った。後者は現在でも中国の移籍最高額記録である。