球道雑記BACK NUMBER
メジャー挑戦を断念して――。
涌井秀章は今季、何を目指すのか?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/03/02 16:30
移籍5年目を迎える今季も、涌井秀章は4年連続かつ現役最多9度目の開幕投手を視野に入れる。
涌井の今年のテーマは「原点回帰」。
さて、その涌井である。
今オフ、涌井は海外FA権を行使して、米メジャーリーグ挑戦を表明した。
しかし、結果はアメリカのFA市場が極端に遅い動きだったことなども影響して、1月末に千葉ロッテ残留を発表。2月1日からは千葉ロッテの石垣島春季キャンプに参加し、例年通りの調整を続けてきた。
そんな涌井が今年のテーマに掲げているのが「原点回帰」だ。
秩父の山にこもって、ひたすら走った若手時代のように、今年は例年以上に自分の体を追い込み、年間を通して高いパフォーマンスが維持できるように準備を怠らなかったという。
千葉県館山市での自主トレでは、グラウンドでのランニングをはじめ、坂路走、クロスカントリー走などで1日平均7キロ走ることを自身に課した。
整備されたトラックを走るのではなく、坂路や芝生、ウッドチップコースなど起伏のあるコースを走ることで体を鍛え、シーズン中は鍛えきれない筋肉にも刺激を与えた。筋肉痛になることもあったというが、これもあまり使ってこなかった筋肉を起こしたと捉えれば予定通りである。
「練習メニューも、もう1回ゼロに戻そうと」
大迫はそんな涌井の体付きの変化についてこう語る。
「(近年は)自分で考えて体を絞っていたり、色々していたみたいですね。奥さんとも食事のことについて話し合っているみたいだし、彼なりの考えがあるのでしょう。
僕の練習メニューも、今回、もう1回ゼロに戻そうと。そこは涌井とも相談して、走り込みを中心にね。もう1回、彼を蘇生させなければいけないわけですから。だから昨年と比べても大変多い量を今年は走ってきましたよ」
その証言からも、涌井の並々ならぬ想いが伝わってくるようだ。