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メジャー挑戦を断念して――。
涌井秀章は今季、何を目指すのか?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/03/02 16:30
移籍5年目を迎える今季も、涌井秀章は4年連続かつ現役最多9度目の開幕投手を視野に入れる。
今年は完全復活を期待してもいい!
昨年の不振を一掃する兆しは、昨年の終盤戦に見せていた。
千葉ロッテ移籍後は封印してきたノーワインドアップでの投球を、昨年9月2日の北海道日本ハム戦で解禁。打たれたヒットはわずか5本で、9回にはこの日の最速150kmをマークするなどして実に6年ぶりの完封勝利を飾った。
さらに井口資仁監督の現役最後の試合となった9月24日の北海道日本ハム戦でも、初回、大谷翔平(現ロサンゼルス・エンゼルス)から151kmの直球で空振り三振を奪うなど、5回までで9個の三振を奪う快投を見せる。
6回に左手親指付近と右ふくらはぎが釣って無念の途中降板となったが、そこで得た手応えと、途中降板の反省を踏まえて臨んだ今オフの自主トレはそれだけの密度をこなし、万全の準備をしてきている。
その辺りの決意、および準備を踏まえても今年は完全復活を期待していい。
2月15日のブルペンでは捕手を座らせて105球を投げ込んだ。ここまでの過程も順調そのもので、いよいよ3月から実戦登板に入って行く。
「井口監督を胴上げするために投げたい」
今オフ、千葉ロッテを退団したかつてのチームメイトが働く職場に、涌井は後輩数名を引き連れて顔を出したという。
仲間想いで面倒見が良い性格は今も昔も変わらない。このチームメイトも涌井らの来訪をとても嬉しそうに語った。
ロッテ残留を決めた1月末、涌井はこんなコメントを出している。
「日本のキャンプインまでに結論を出すと決めていた。決断の時期に差し掛かり、愛着あるマリーンズで現役時代からお世話になった井口監督を胴上げするために投げたいという気持ちが強くなりました」
信頼する指揮官と仲間達と共に、2018年の秋、喜びを分かち合えるのか。
涌井の復活がそれを近付けるのは言うまでもない。