球道雑記BACK NUMBER
30本、30盗塁も夢じゃない!
ロッテ中村奨吾を覚醒させた2人の師。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/02/28 16:30
天理高、早大を経て2015年ドラフト1位で入団したプロ4年目。今季は大学時代に守った二塁の定位置を狙う。
目線とタイミングを改善して、すぐに結果が。
当時は打撃コーチがいる手前、あまり出しゃばりたくないと思っていた福浦。断り切れない知人からの頼みとあって、中村に自分の感じることを要点だけ伝えたという。
福浦のアドバイスした修正点は主に2つあった。
ひとつは目線の位置、もうひとつはタイミングの取り方だ。この2点が上手く噛み合わさり、中村の打撃はそれまでと比べ、明らかに良化した。
中村が言う。
「目線の部分で言うと、打ちに行くときに顎が浮いてしまってバットの出が悪くなっていたところがあったので、少し顎を引きました。タイミングに関しては『早めにとって、ゆっくり伸ばす』という意識ですかね」
すると、それまでどうしても手が出ていた外角のボールになる変化球をしっかり見逃せるようになった。さらにタイミングがずれて、内野のポップフライで終わっていた打球も強いライナーや外野の頭を越えるような打球へと変わった。シーズン前半、スタンドから漏れていたため息が、歓声に変わっていったのもこの辺りからだ。
「(以前も)フライアウトのときは『ああ惜しかったな』という感覚が自分の中でありました。打球的にもそういう感覚が多かったかもしれないです。やっぱりタイミングが合っていなかったりすると、そうした打球になっていたところもあったので」
「詰まらされてもしっかり振れている」
それでも強いライナーが打てたり、高いフライが上がったときは自分のバロメーターにはなっていたと中村は言う。強く振れているからこそ、打球は高いフライになって上がり、あとはタイミングひとつで修正が可能だからだ。
中村はこう続ける。
「詰まらされてもしっかり振れているから、上がった打球でも外野の前に落ちたとかもあると思うんですね。一方でゴロでも間を抜ければヒットはヒットですし、たとえばセカンドゴロで二遊間に飛んだ打球でもタイミングがもう少し早ければヒットになっていたとかの反省にもなるのかなって」