球道雑記BACK NUMBER
30本、30盗塁も夢じゃない!
ロッテ中村奨吾を覚醒させた2人の師。
posted2018/02/28 16:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
「吹っ切れました」
千葉ロッテ・中村奨吾がそう言って、一軍の舞台に戻ってきたのは昨年の6月中旬。シーズン後半戦が今まさに幕を開けようとしていた頃だった。
その心境の変化が彼の成績にどう影響を及ぼしたのかは、中村本人にしか分からない。しかし、昨年の開幕から5月7日までに出場した7試合で18打席ヒットがなかった彼が、2度にわたる二軍降格を経て一軍に戻って来たとき、それまでの不振が嘘のように晴れ晴れとした表情で戻って来たのは、記憶の片隅にある。
まずは下記の成績を見てほしい。
3月 打率.000 1試合2打数0安打0打点0本塁打0盗塁
4月 打率.000 2試合4打数0安打0打点0本塁打0盗塁
5月 打率.000 4試合11打数0安打0打点0本塁打0盗塁
6月 打率.273 6試合11打数3安打2打点1本塁打0盗塁
7月 打率.317 20試合63打数20安打10打点2本塁打1盗塁
8月 打率.276 25試合87打数24安打13打点3本塁打2盗塁
9月 打率.289 22試合83打数24安打7打点3本塁打8盗塁
10月 打率.316 5試合19打数6安打0打点0本塁打0盗塁
2度にわたってファーム降格を言い渡された5月までに比べ、6月の一軍再々昇格以降は明らかな変化が出ている。
6月~10月の成績を合わせるとこうなる。78試合263打数77安打、32打点9本塁打、打率.293。それまでの不振が嘘のようだ。
「奨吾のバッティングを見てやってほしい」
そこで復調の理由を尋ねると、中村はこう返した。
「考え方、バッティングに関しては大きく変えてはいないです。自主トレから今年はこれでやろうと決めたことがあったので、基本となる部分はそこから変えないで……。
ただ、二軍の(大村巌)コーチだったり、先輩だったりにアドバイスをもらったりした中で、2度目にファームに落ちたときに、福浦(和也)さんから教えてもらったことがあったので、それがハマった感じで、徐々に結果も出るようになりました」
中村が福浦からアドバイスをもらったのは、中村の不振を見ていられなかった中村と福浦の共通の知人が、福浦に「奨吾のバッティングを見てやってほしい」と言ったことがきっかけだった。