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「ブラジルW杯前と、状況は同じ」
森重真人、復活へのロードマップ。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/02/27 17:00
日本代表として国際Aマッチで41試合プレーしている森重。その経験は、必ずロシアW杯でも役に立つはずだ。
ついに5年ぶりのコンビが復活!
FC東京には昨夏に復帰。ちょうど、ケガをした森重と入れ替わる形で最終ラインに入った。
ようやく、今季から復活した5年ぶりのコンビ。
ピッチ外でも仲の良い2人。
両者ともにボール扱いにも長けた選手だけに、すでに息の合った場面も見られる。
キャンプ中から、チャン・ヒョンスは1人規格外のプレーで存在感を発揮していた。実際の練習試合でも、日常会話レベルでは何ら問題のない日本語で周りに指示を出す。
そんな戦友の姿を見て、森重は語る。
「本当にリーダーシップを取れるようになって帰ってきた。以前よりも、自信も経験もつけて、より向上心を持ってやっている。間違いなく良い選手ですよ」
それに対して、チャン・ヒョンスも殊勝に返す。
「(森重からは)僕がキャプテンになったことについて、基本的には何も話はない。でも自分はまだまだ務めるには器不足。彼にも助けてもらいながらやっていきたい」
巻き返さなければならないシーズン。同じW杯出場を視野に入れるセンターバックが横にいる。
森重にとっては、これ以上ない刺激になる存在だ。
「今日よりも来週、その次と、右肩上がりで」
2月24日、J1リーグ開幕節。FC東京はホームに浦和を迎えたが、結局1-1の引き分けに終わった。相手の1点は、同級生の槙野が決めた。ライバルも代表戦線へのアピールに余念はない。
森重自身は、昨年7月以来となる公式戦で、まだまだ試合勘の無さを感じさせるところもあった。
「こうして試合を重ねていって、試合勘、実戦での視野や駆け引きと、状態を上げていきたい。今日よりも来週、その次と、右肩上がりで良くなる感触はある」
実はこの浦和戦直前、森重は今季にかける熱い思いをしっかりと話していた。
もとより決して多弁ではないこの男も、勝負のシーズンに向けてしっかりと感情を言葉にしていたのだ。
1年前は「危機感」という言葉に集約させていた思い。そして、しっかり苦い経験を味わうこととなった1年後。昔よりも泰然とした空気感が、余計に今の彼の覚悟を示していた。