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「ブラジルW杯前と、状況は同じ」
森重真人、復活へのロードマップ。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/02/27 17:00
日本代表として国際Aマッチで41試合プレーしている森重。その経験は、必ずロシアW杯でも役に立つはずだ。
代表では昌子、槙野、吉田らと競争。
直後の7月上旬、セレッソ大阪とのリーグ戦中に、今度はケガを負ってしまう。
空中戦後の着地に失敗し、痛みに悶絶しながら途中交代。診断の結果、左腓骨筋腱脱臼。全治4カ月の重傷だった。
結局、森重にとってこれが2017年最後の試合となってしまった。
「危機感」というテーマのもと、今季こそはと誰よりも勝利を渇望したシーズン。その思いとは裏腹に、彼は早々にピッチから離脱し、ただただ悔しさを噛みしめるしかなかった。
元々、口数の多い選手ではない。リハビリ中も、その状況を多弁することもなく、復帰に向けて黙々と目の前のことに取り組んでいた。
その間、FC東京は依然として向上の兆しがなく、タイトル獲得の可能性も早い段階で潰えてしまった。
日本代表に目を移せば、昌子源の台頭に始まり、同じサンフレッチェ広島ジュニアユース出身で同級生の槙野智章の活躍と、長らく日本のDFリーダーである吉田麻也を加えたセンターバック競争が激化していた。
森重はケガをする前に、代表から外れてしまった。本来であれば、いち早くプレーでアピールし、再び代表戦線に戻りたい。しかし、すぐに復帰できるような負傷でもなかった。彼の沈黙の日々は、葛藤と忍耐そのものを表しているかのようだった。
森重の次の主将はチャン・ヒョンス。
11月、代表の欧州遠征が終わり、12月にはJリーグのシーズンが完結。国内組のみで戦ったE-1選手権(旧東アジアカップ)で、日本は優勝を逃してしまった。
年が明け、2018年1月。
新たに長谷川健太監督を招聘したFC東京の練習に、元気な森重の姿があった。
沖縄1次キャンプ、インドネシア遠征、沖縄2次キャンプと、ケガの影響も感じさせない調整ができていた。
長年続けてきたチームキャプテンの立場。今季、森重は主将から外れることになった。
代わりに就任したのは、チャン・ヒョンス。'13年までFC東京に在籍し、森重とセンターバックでコンビを組んでいた韓国人DFだ。
その後、'14年に中国へ渡り、メキメキと実力をつけていった。'16年にはリオデジャネイロ五輪にオーバーエージ枠で出場し、主将として国際舞台でチームをけん引した。
現在、韓国代表でも副キャプテンを務め(キャプテンはプレミアリーグでプレーするMFキ・ソンヨン)、シン・テヨン代表監督にとっても代えの効かない選手となっており、今夏のロシアW杯出場も当確組の立場だ。