「まずは目の前のことですね」

　3月、日本代表の欧州遠征で招集されるか否かは大事な節目になるが、それ以上に、まずはFC東京でのプレーが大切になる。

　残念ながらファンの期待にこたえられていないチームを、彼自身が本来の出来を取り戻すことで安定的に勝てるチームへと導けるかどうか……。

　そこにはチャン・ヒョンスという、同じ目標を持つ同志でありライバルもいる。チームで骨太なプレーが再現できれば、森重の実力であれば、代表復帰の道も自ずと開けてくるはずだ。

「まずは目の前のことですね。集中するだけです」

　力むことなく、何度も放った一言。

　自分の力は、自分が一番信用していることを示すかのようだった。

　周囲を納得させるには、結果あるのみ。辛苦を経験してきた森重だからこそ、その意味を理解している。