プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「噛ませ犬」事件から35年が過ぎ――。
昭和の“革命戦士”長州力の現在。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/01/18 11:00
老いたりとはいえ、その“革命戦士”としての目の輝きは変わらない。その闘争の遺伝子を、長州は果たして誰に伝えていくのか……。
長州力の目は新日本プロレスの現場監督時代のように。
試合のフィニッシュは飯伏に任せて、飯伏らと共に勝ち名乗りを受けると、長州は早々とリングを降りた。
「この四角いリングは危険で怖いところですよ。だから、試合が終わってリングを無事降りられると、ホッとするんですよ」
長州はしみじみという。
「リングに上がってくれたみんなには感謝している」
長州は感謝の言葉を口にしたが、終始、コミカルな動きを続けた伊橋には念を押すように手厳しい言葉を投げた。
「お前はダメだ。プロレスは遊びじゃない。お前はプロレスをやっちゃダメだ」
長州力の目は新日本プロレスの現場監督時代のように、今のプロレスに対しても厳しかった。
そして、少しやさしくなっていた。