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王者オカダが誓ったドーム満員伝説。
「幸せの雨」という名の招待状とは。
posted2018/01/09 16:30
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
1月4日、内藤哲也をレインメーカーで倒して9度目のIWGP王座防衛を果たしたオカダ・カズチカは、マイクを握って東京ドームに集った3万4995人のファンに感謝したが、スタンドを見渡すとさらに呼びかけた。
「でも、ライト・スタンド、ガラ空き。レフト、ガラ空き。上のほうも空いている所、まだまだある。レインメーカーに、任せなさい。しっかり、超満員札止めの東京ドームを見せてやるからな!」
近年では最多の観客動員となったが、オカダは不満だった。2万5千人や3万人で満足している時代は終わった、と言いたいのだろう。
自分に足りないものを補うことで、1990年代の満員伝説を再び現実のものとするというオカダの強い意思表示だ。
オカダの思いと裏腹に、メディアの数が減っていた。
2000年代はドーム大会の存続が危うい時もあった。でも「1.4をやめてしまったら新日本プロレスそのものが終わってしまう」という声が勝ってドーム大会は継続されてきた。
「身の丈サイズ」という表現で、全盛期の半分の数字に甘んじて来た新日本プロレスは回復の道を歩み始めている。それをさらに自分の力で改革する時が来たのを、オカダは実感している。
オカダは日頃から考えていた。
「スポーツ紙の1面やテレビのニュース、一般の雑誌でIWGP戦が大きく扱われるにはどうしたらいいのか」
だが、オカダの思いと逆行するように1.4を取材するメディアの数は減ってきていた。かつてはごった返していたプレスルームが懐かしく感じられるくらいだ。