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金子千尋「マー君じゃないですけど」
オリのエースとして、負けない決意。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/01/06 11:30
若手投手が続々と台頭してきたとはいえ、福良監督が一番厚い信頼を寄せるのはエース金子千尋だ。
「2013年の田中マー君じゃないですけど」
金子は契約更改後の記者会見で、2018年への決意を語った。
「今のままじゃ優勝できない。2014年を超えるキャリアハイの成績を残せたらなと思います。そうすれば少しでも優勝に近づけるんじゃないかと思うので。もちろん僕1人だけでは難しいかもしれないですけど、でも僕がやらないといけないと思っているので、1年間継続して結果を残せるようにしたい。2013年の田中マー君じゃないですけど、負けないにこしたことはないので、その成績にちょっとでも近づけられればなと思います」
2018年は、アマチュアNo.1と評された田嶋大樹やK-鈴木(鈴木康平)といった新人も加わり、若手投手の層が更に厚くなる。金子が金子らしいピッチングで投手陣を引っ張れば、若手が伸び伸びと力を発揮できるだろう。
打撃陣は藤井コーチの就任で覚醒なるか。
野手については、福良淳一監督は「ロメロ、マレーロはよく頑張ってくれたし、小谷野(栄一)、中島(宏之)の両ベテランもよくやってくれた。若手がもう少し出てきてくれれば。若手育成が大きな課題」と総括した。その通りだが、それならば、交流戦で3位の打率.382を残す活躍を見せ、開花しかけていた武田健吾を使い続けてほしかったとも感じる。
オリックスの2017年の盗塁数は両リーグワーストの33。その意味でも、足のある後藤駿太や大城滉二、武田など若手による定位置奪取や、不調だった安達了一、西野真弘の復活が望まれる。
打線については、藤井康雄打撃コーチの加入が好影響をもたらすのではないか。1996年の優勝経験者であり、福岡ソフトバンクで2017年まで7年間コーチとして強力打線を支え、育てた人物。オリックスとの契約を交わすため10月31日に舞洲の球団施設を訪れた際には、その足でスーツ姿のまま早速選手に熱血指導を行った。T-岡田や安達、吉田正といった選手たちが、藤井コーチの理論に引き込まれるようにじっと話を聞いていた。