プロ野球亭日乗BACK NUMBER
来季巨人の大命題、どう点を取るか。
2番はマギーより坂本が最善手では。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/12/31 11:30
マギーと坂本。ともに3割を打てる能力を持つ右打者だが、走力や小技を考えると2番適性が高いのは坂本かもしれない。
泥沼の13連敗から救った「2番・マギー」。
泥沼の13連敗から巨人反転の糸口を作ったのが、ケーシー・マギーの2番起用だったのは誰もが認めるところである。
マギーが初めて2番に起用されたのは、オールスター戦直前の7月12日のヤクルト戦。この試合までに81試合を消化していたチームは、37勝44敗で7つの負け越しという状態だった。しかし、「2番・マギー」で臨んだヤクルト戦に8対3で快勝すると(マギーは3打数1安打2四死球)、その後の62試合は35勝24敗3分けの勝率5割9分3厘の成績で、DeNAと最後まで3位争いを演じて4つの貯金を残した。
7月12日以降の成績を単純比較すると、巨人より高い勝率を残したのは6割だった広島だけで、阪神もDeNAをも上回っている。
2番に起用されたマギーが打率3割1分5厘で首位打者争いを演じ、48二塁打のリーグ新記録を作るなど打線の起点として機能したのが大きな要因だった。
ただ、それでは2018年シーズンもマギーの2番が最善手かといえば、決してそうとも言えない部分はある。
それを裏付けるのが盗塁と併殺の数字なのだ。
上位打線で機動力が使えないデメリットが。
攻撃的2番打者としてマギーの存在感は確かに大きかったが、その反面、上位打線で機動力がほとんど使えないという問題を内包していた。
もちろん機動力不足という点では、1番打者を固定できなかったことも大きい。ただ、「2番・マギー」だと、もちろんバントは前提として作戦から排除される。その上でエンドランなどで制約をつけた打撃を求めるより、自由に打たせて結果が出るのを待つということが基本になってしまう。しかもマギーが出塁した場合にも、クリーンアップが打つのを待つだけしか基本的には策がない。
その結果がリーグワースト2位のマギーの20併殺、ワースト6位の坂本の16併殺という数字につながるわけだ。ちなみに併殺ランキングではこの2人の他に長野久義が17併殺、村田修一が15併殺とワースト10に巨人選手が4人も入っている(トップはDeNAの宮崎敏郎の23併殺)。