プロ野球亭日乗BACK NUMBER
来季巨人の大命題、どう点を取るか。
2番はマギーより坂本が最善手では。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/12/31 11:30
マギーと坂本。ともに3割を打てる能力を持つ右打者だが、走力や小技を考えると2番適性が高いのは坂本かもしれない。
少ない本塁打数と盗塁、ワーストの併殺打。
典型的な例が、'17年の5月末から6月にかけて記録した球団ワーストの13連敗だった。
この間の試合で先発投手陣が5回まで3点以内に抑えたのは6試合あり、逆に打線が9回で3点以内に抑えられたのは実に9試合を数えている。要はいくら投手が抑えても、打線がある程度得点できなければ白星はあげられない。当たり前だがそのバランスシートをいかに作れるかなのだ。2018年の巨人の土台は守りにあるが、最大のテーマはやはり打線なのである。
'17年シーズンの巨人のチーム打率2割4分9厘は阪神と同率でリーグ3位、チーム536得点は同4位と平均的だった。だがその一方で顕著に上位チームとの差を示す数字が3つある。
1つはトップの広島の152本に対して113本という本塁打数の少なさ。そして残る2つはリーグ4位でトップの広島の半分だった56盗塁とリーグワーストの129併殺で、これは機動力のなさということで表裏一体の数字だった。
本塁打王ゲレーロ獲得は一理も二理もある補強。
もちろんこうした数字を踏まえた補強がセ・リーグ本塁打王、アレックス・ゲレーロ外野手の獲得だったのはいうまでもない。
'17年シーズンはナゴヤドームを本拠地にする中日で35本塁打をマーク。左中間、右中間のふくらみが少なく、ナゴヤドームに比べて本塁打が出やすいと言われる東京ドームなら40本近くが期待できるという皮算用だ。
ケガが多くメジャーでは欠場が多かったことから、2年契約を危ぶむ声があるのは確かだ。ただ、市場を見回した中では長打力では一番の選手で、リスクを言っていては補強はできない。ゲレーロ獲得は、結果はともかくフロントとしては打てる手を打った補強で、そこには一理も二理もある。
そうしてゲレーロが加入し4番を打てれば、打線の編成も大きく変わってくる。
おそらく阿部を5番に回して3番の坂本勇人とクリーンアップを組むというのが、高橋由伸監督の第一構想だが、もう1つのカギとなりそうなのが、「2番・マギー」を継続するのかどうかということではないだろうか。