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勝点を運ぶ男・小林悠、30歳の覚醒。
川崎のエースは代表でどう輝く?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/12/07 11:30
昨年の中村憲剛に続き、川崎から2年連続のMVPとなった小林悠。得点力ならば海外組を含めても日本一との声も大きい。
代表の右では4番手、本人もそれを自覚している。
自分なりの「違い」を出すイメージもある。
「自分たちが攻めているときは、右サイドから逆サイドのクロスへ入っていく。そこはFWの意識というか、ゴール前で点を取るためにプレーすることを考えていきたい」
モデルとなるのはトーマス・ミュラーだ。ドイツ代表の右サイドアタッカーを担う28歳は、ゴール前ではっきりとした存在感を放つ。ディフェンスでハードワークをしながら得点源にもなるミュラーのプレースタイルは、フロンターレのキャプテンに重なる。
日本代表の右ウイングは激戦区だ。リオ世代の久保裕也と浅野拓磨が先行し、経験者の本田圭佑が追いかける。ハリルホジッチ監督の選手起用から判断すれば、小林は4番手だろうか。
他でもない小林も、厳しい立場は自覚している。
「自分の立ち位置はもうホントに、全然下のほうだと思います。でも、この大会を通して活躍すれば一気にメンバーに入れる可能性もあると思うので、僕はそこに賭けるしかない。自分にできることをしっかり整理して臨みます」
ロシアW杯へ向かっていく日本代表に、いまはまだ自分の居場所を見つけるのは難しい。それでも、小林は静かな闘志を燃やす。日本代表でのプレーは茫洋としたイメージではなく、彼のなかできっぱりとした像を結んでいる。