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勝点を運ぶ男・小林悠、30歳の覚醒。
川崎のエースは代表でどう輝く?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/12/07 11:30
昨年の中村憲剛に続き、川崎から2年連続のMVPとなった小林悠。得点力ならば海外組を含めても日本一との声も大きい。
ストライカーの「雰囲気」をまとい始めた小林。
昨シーズンまでと比べて、プレースタイルが劇的に変わったわけではない。30歳の覚醒はメンタルに起因する。
「苦しいゲームでも自分が決めてきた経験があるから、こういう試合で決めるのは自分だな、と思いながらピッチに立てるというか。こういう試合で決めてきたんだから、今日も決められるというメンタルを試合中に持てるんです。そうやってプレーしていると、だいたい決められますね」
今日も決められる、自分が決めるという自信は、DFとのマッチアップで優位に立つ要因となる。チャンスが巡って来なくても焦りを感じさせず、残り時間が少なくなっても顔色を変えないストライカーは、DFからすると厄介で気が抜けない。
成功体験の積み重ねが自信を揺るぎないものとし、ワンチャンスを抜け目なく生かすことにつながっている。“雰囲気を持っている”と表現されるストライカーの領域へ、小林は足を踏み入れた。
「自分が取る」という貪欲な姿勢は、周囲の選手を生かすことにもなる。餓えた空気感を隠さないストライカーを、DFは決して離さない。それによって攻撃側にスペースが生み出されたり、味方選手がマークを逃れたりできるのだ。
日本代表にも復帰、右サイド起用が濃厚?
12月8日に開幕するE-1選手権の日本代表には、小林の名前が含まれている。代表発表は得点王を獲得する前だったが、シーズンを通してコンスタントに得点してきたのだ。国内組によるチーム編成で、彼が選ばれないはずはない。
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、右ウイングでの起用を見込んでいる。現時点で最後の国際Aマッチ出場となっている'16年10月のオーストラリア戦でも、背番号14を着けた小林は右サイドで起用された。
1年2カ月前より攻守にレベルの高い自分を、現在の小林なら表現できるはずだ。鬼木達監督のもとでも右サイドで起用されることがあり、素早い攻守の切り替えと守備での運動量を要求されてきた。
「サイドで出るのであれば、アップダウンを激しくしないといけないですし、守備での運動量もかなり求められると思います。そこはホントに1年を通してやってきましたし、どこで出ることになってもフロンターレでの良さを出せればと思います」