サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ベルギー戦で日本は何を見せるのか。
親善試合で結果よりも大切なこと。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2017/11/14 08:00
日本の唯一のゴールを生んだ槙野智章。選手たちはブラジル戦にどんな感覚、手ごたえを感じているのだろうか。
酒井宏樹「能力も、ずる賢さも、戦術も……」
現代表では、相手に応じて自分たちのスタイルを選択していかなくてはならない。それには、繊細で高度な駆け引きが必要不可欠となる。だからこそ想定外の失点にも、ミスにも、不運なジャッジにも動じない冷静なクレバーさを身につけなければならない。
ボールの転がり方ひとつが明暗を分けるのがサッカー。偶発的な事故は起こりうる。技術や運動能力、身体能力での差があるのなら、メンタルや戦術だけでも相手に近づき、違いを埋めていくしかない。
酒井宏樹は「(自陣から遠い位置なら)ファールでゲームを止めるのもひとつの戦術」という話をしたあとに、こう続けた。
「ファールで止めるというところがすごくキーになってきた。それはもう当然のことで、それが戦術。僕が日本でプレーしていたときは、ファールで止めるのは正義じゃないみたいな感じがありましたけど。ユベントスとかはむちゃくちゃそれがうまい。能力の高い選手たちが、そういうのを使って戦っているのが世界トップレベルだから。僕らは能力的にも達していないのに、ずる賢さや戦術でも達していなかったら、やっぱり戦えない」
親善試合の結果に必要以上にこだわらなくてもいい。
4年前、ブリュッセルで戦ったベルギー戦は2-3と勝利。このときの欧州遠征でオランダと引き分け、ベルギーに勝利したザックジャパンは大きな自信を手にし、その後の親善試合も4連勝で本大会に挑んだ。しかしW杯の結果を考えると、親善試合の結果は本大会の結果を示しているわけではない。
長友が「コンフェデレーションズカップで戦ったときと比べたら、威圧感がなかった」とブラジルの印象を話している。日本相手だから手を抜くわけではなく、親善試合と公式戦とでは、モチベーションに違いがあって当然ということなのだろう。
だとすれば、必要以上に勝敗にこだわることもないのかもしれない。もちろん、勝つための選択、負けないためのプレーをするテストの場でもあるし、実戦だからこそ、気づく足りなさもある。