オリンピックへの道BACK NUMBER
あの宮原知子がついに帰ってきた!
羽生欠場も見所が多かったNHK杯。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2017/11/13 11:50
体力的にはまだまだと言いながらも、宮原の、その1本1本の指先まで美しく表現された演技は流石。完全復活が待ち遠しい。
コストナーを見て「これがスケート!」と衝撃の白岩。
GPシリーズのデビュー戦となった白岩優奈にとっては、苦さもありつつ、「いい試合でした」という思いが残った。
「練習では100%できていました」と本人が言えば、「練習は調子よかった」と濱田コーチも言うように、好調な仕上りとともに試合に挑んだ。だがジャンプでミスが相次ぐなど、力を出せずに終わった。
「すごい緊張していました。目がきょろきょろして」(濱田)
結果、171.94の8位。それでも、得たものは小さくないはずだ。
「練習から、試合のように1本1本、プログラムを練習したいと思います」
間近に接したシニアの選手の姿も刺激となった。その中で印象的だった選手をあげる。
「(カロリーナ・)コストナーさん(イタリア)です。見ていて、『これがスケートなんだ』という滑りで、衝撃でした」
それもまた、糧となる。2週連続での出場となるフランス杯を経て、全日本選手権を視野に入れる。
優勝のメドベデワ、2位のコストナーともに貫禄が。
日本勢それぞれに思いを抱いて終わった試合を制したのは、224.39点のエフゲニア・メドベデワ(ロシア)。
フリーでは、冒頭で予定していた3フリップ-3トウループのフリップで転倒。2つ目の3ルッツも両足着氷となり、珍しくミスが相次いだが、後半のジャンプをコンビネーションにするリカバリーを見せ、技術点、演技構成点それぞれ2位、総合力を発揮して優勝した。
試合後、ミスの原因は「怪我をしているのか?」と問われると、「どうしてそういうことを聞かれるのか分かりません」と毅然と返した。そこに、メドベデワの強さの一端が感じられた。
2位は212.24点のカロリーナ・コストナー(イタリア)。
フリーではコンビネーションジャンプで転倒、ダブルトウループが3度になるミスもあったが、演技構成点でメドベデワを上回った。30歳の今日も、その滑りが健在であることを示し、GPファイナル進出を手中におさめた。
210.19で3位のポリーナ・ツルスカヤ(ロシア)は、シニアデビューそしてGPシリーズデビュー戦を表彰台で飾った。逸材と言われつつ、怪我に苦しんだ時期も長かったが、高さのあるディレイド・ジャンプは、ツルスカヤならでは。圧巻だった。