オリンピックへの道BACK NUMBER
あの宮原知子がついに帰ってきた!
羽生欠場も見所が多かったNHK杯。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2017/11/13 11:50
体力的にはまだまだと言いながらも、宮原の、その1本1本の指先まで美しく表現された演技は流石。完全復活が待ち遠しい。
「いいイメージでスタートを切ることができました」
自ら意見を言うようにもなった。
以前から関心があった衣装のデザインも自ら手がけ、製作をお願いしたデザイナーと一緒に素材選びからまわるなどした。
状況の変化に応じて、自分を変えようと思い、実践してきた。その姿を見せたいと思っていた。
練習のあり方も変化した。量を積めないかわりに、質の向上を試みた。
「試合を想定して、6分練習したら、ちょっと靴を脱いですぐにフリーやショートをするという具合にしていました。一発だけと決めて、緊張の中でやっていました」
ごくごく限られたジャンプの回数だから、一度に集中した。
「(緊張しすぎなかったのは)練習を、そういう緊張の中でやっていたのがよかったと思います」
そして、こうも口にした。
「いいイメージでスタートを切ることができました」
限られた状態にあっても、その中でやるべきこと、できることを尽くす。そこで得た5位という順位は、本来の宮原がいる位置ではないだろう。それでも宮原の競技人生において、重要な試合だった。それが2017年のNHK杯だった。
本郷は「試合ごとに自分の思いも出て、演技が楽しく」。
NHK杯の女子には、宮原のほか、日本から本郷理華、白岩優奈も出場した。
本郷にとっては、スケートカナダに続き、自身の2試合目のGPシリーズ。カナダ大会ではジャンプの回転不足を取られるなどして、176.34の6位。今大会でもフリーで回転不足を取られ、187.83の7位にとどまった。
だが、その表情はカナダよりも明るい。
「試合ごとに、自分の思いも出て、演技が楽しくできるようになってきています。ショートの3回転-3回転はクリーンだったのでフリーでもやりたかった。スピン、ステップでも加点がもらえる、バランスよく点の取れる選手になりたいです」
さらなる向上を誓う。