酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
セMVPは丸佳浩じゃないとおかしい!
「RC」が示す攻撃での圧倒的な貢献。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2017/11/05 11:30
打率.308、23本塁打、92打点、13盗塁。そして守備も良し。タイトルはなくても、彼こそ今年最高の野手なのだ。
柳田のライバルは絶対的守護神サファテ。
となると優勝チームであるソフトバンクの柳田が有力だろう。本塁打、打点のタイトルは僚友のデスパイネに奪われたが、出塁率は断トツ1位の.426。RCは積み上げ型の数字だから試合出場が多い方が有利だが、右わき腹痛で13試合も欠場しながらも111.69をたたき出したのだ。
柳田は昨年もRC105.63でパ・リーグ1位だった。しかし大谷翔平が「二刀流」で異次元の活躍をしたためにかすんでしまった。また昨年「2年連続トリプルスリー」を達成した山田と比較されたためか、ベストナインにも選ばれず。負傷の影響もあってWBC日本代表にも入らなかった。記録ではなく“印象”に振り回されて、割を食ったのだ。
では、今年のMVPは柳田か? というと、おそらくそうではないだろう。ソフトバンクには、NPBのセーブ記録を8つも更新する54セーブをマークしたデニス・サファテがいる。
MVPは打者が選ばれることが多く、救援投手が選ばれるのは稀だが、今年に限ってはサファテで決まりだろう。今年の彼はそれほど破天荒な活躍をした。
MVPなどの投票で決まるアワードは、単純な数字ではなく、チームの事情やライバルなど様々な要因が絡む。それだけ興味深いと言える。
読者各位も、今年のMVPは誰か、で美味しいお酒を飲んでいただきたい。ただし「MVPと言えば、うちの課の評価もおかしいよな」と話が変な方向にもつれて、上司や同僚の悪口大会に発展しても、当局は一切関知しない。