酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
セMVPは丸佳浩じゃないとおかしい!
「RC」が示す攻撃での圧倒的な貢献。
posted2017/11/05 11:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
日本シリーズが終われば、野球界はもうオフだ。これから野球親父は「今年はどうだった」という「復習戦」を飲み屋で戦わせることになろう。特にMVPは、この時期の格好の酒の肴だ。
MVPやベストナイン、ゴールデングラブなどは、野球記者の投票で決まる。客観的な数字で決まるタイトルとは異なり、いろんな思惑が入るし、毎年基準もぶれる。人間臭いアワードなのだ。だから議論の余地がある。「あれはおかしい」「あいつの方が」と言い募る余地がある、だから酒の肴になるのだ。
今年のMVPは誰か?
私はセ・リーグのMVPは、広島の丸佳浩だと思う。いや「思う」ではなくて、丸佳浩でなくてはならないとまで思う。
思えば、昨年のセ・リーグのMVPは、丸の大先輩、新井貴浩だった。NPBでは、MVPはだいたい優勝チームの選手から選ばれる。「三冠王」などの大記録が出た場合は別だが、優勝チームで一番活躍した選手がMVPになるのが常道だ。しかし、ある数字で見れば昨年の新井はカープで“一番”活躍したとは言えなかったのだ。
オフェンス面の総合値を算出できる「RC」。
それはRC(Runs Created)というセイバーメトリクスの指標である。大家であるビル・ジェームズがずいぶん前に考案したものだ。安打、長打、本塁打、四死球、盗塁、盗塁死、三振、犠打、犠飛というオフェンス面の数字を一定の係数をかけて算出した打者の総合指標だ。打点に近い数字になるようにまとめられている。RCが100を超えれば、MVP級と言える。
このRCの昨年のセ10傑は以下の通りだった。
1.筒香嘉智(De)128.42
2.山田哲人(ヤ)123.50
3.坂本勇人(巨)116.94
4.丸佳浩(広)106.77
5.鈴木誠也(広)106.18
6.菊池涼介(広)91.21
7.田中広輔(広)86.19
8.村田修一(巨)85.93
9.大島洋平(中)83.66
10.バレンティン(ヤ)82.92