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サッカー選手がリベリア大統領に!?
ジョージ・ウェアが政権奪取間近。
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byBernard Papon
posted2017/10/26 11:00
ユニフォームを脱ぎ捨て、今はスーツとネクタイで戦っているウェア。“キング・ジョージ”はプレジデントになれるか?
低学歴を非難され、大学、大学院へと進学した。
対抗勢力は、ウェアの低学歴を長く揶揄し続けてきた。
だが彼は、地道に努力を重ねて大学の学位を取得し、最終的には修士(大学院)にまで達したのだった。
また巧みな弁論術も身に着け、とりわけコンゴタウン(CDCの支持基盤である地域)でおこなった演説は有名で、「私の政府では、汚職にまみれた政治家たちをリサイクルすることは絶対にありえない」という言葉は、人々の心に突き刺さったのだった。それは大臣のポストをたらい回しする政府高官たちへの痛烈な批判のメッセージであった。
国のサッカー界が全面支援……というわけでない。
2002年のアフリカ・ネーションズカップ出場以来、大舞台から遠ざかっているリベリアのサッカー界(ロシアワールドカップ予選は早々に敗退)も、大統領選挙に無関心ではない。ただその風向きは、ウェアにとって望ましいとは決して言えない。
現役時代はリヨンやニースで活躍し、ウェアとは「いとこ」と呼び合うほどに親しかった現リベリア代表監督のジェームス・デバは、2005年の選挙の際にはウェアを支持しなかった。今回もそれは同じである。
また10数人の元代表選手のグループ――その中にはジョナサン・ソグビ、セブエ兄弟、ペウ・ベストマンといったかつてのウェアのチームメイトもいる――は、「統一党サッカーレジェンド」の名のもとにボアカイ副大統領支持を公式に表明している。
「われわれのグループが望むのは、大統領を友情や知名度では選ばないことだ。同じ部族だからというのはもってのほかだ」と、スポークスマンを務めるディオニスス・セブエは語る。
「元チームメイトで友人でもあるジョージを、われわれは上院議員選挙の際にサポートした。しかしその後のリベリアスポーツ界の停滞、とりわけサッカーがまったく進歩していないことに強く失望している」