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監督就任100日間は「10点満点」
バルベルデとバルサの幸せな関係。
posted2017/10/28 09:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
AFLO
7月13日のプレシーズン開始から数えて、バルベルデ監督のバルサにおける「ハネムーン期間」が終了した。
この100日を振り返ると、バルベルデはまるで荒波に翻弄される小舟の船頭だ。
夏の米国ツアーでユベントス、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリーに3連勝するも、帰国したところでMSNが解体。その後のスペインスーパーカップではピケが「この9年間で初めてマドリーに劣っていると感じた」ほどの惨敗を喫したが、ネイマールの代役探しは遅れ、クラブ史上最高額を払ってようやく獲得したデンベレは、チーム合流後1カ月もしないうちにケガで戦線離脱した。
他方、ソシオの間ではバルトメウ会長に対する不信任騒動が勃発し、バルセロナの中心部で死傷者146人を出すテロ事件が起こり、カタルーニャ自治州の分離独立を問う住民投票の日には社会的大混乱が生じてチームは無観客試合を強いられた。
バルベルデ自身、特に8月は「大惨事の真っ只中に置かれていた」ことを認めており、100日を総括して「退屈することはなかった。でも次の100日はもう少し静かであってほしい」と冗談にしている。
それでも現在バルサはリーガの首位。8勝1引き分けで、20チーム中最多の26得点に最少の3失点。CLでも3戦全勝の7得点1失点でグループ首位に立っている。
作り上げた左右非対称のフォーメーション。
前述の険しい道程を考慮する人はもちろんのこと、結果が全てだからそんなもの関係ないという人も、新監督の手腕には拍手を送るほかないはずだ。兎にも角にも、次から次へと現れる障害を乗り越えながら、バルベルデはバルサを変えた。
目につくのは、まずボールを持ったときの左右非対称のフォーメーションだ。
大雑把にいえば4-3-1-2なのだが、「3」の右側を務めるラキティッチが昨年までと比べてピボーテのブスケッツに接近し、左のイニエスタが前寄りのポジションをとっている。「1」のメッシに背後のカバーと最高のサポートを与えつつ中盤の支配を可能にする布陣である。
またサイドも不均衡で、デンベレを失った左は無人のままSBのアルバやディニュがいつでも駆け上がれるようになっているのに、反対側にはウイングとSBの2人体制が敷かれている。