フランス・フットボール通信BACK NUMBER
サッカー選手がリベリア大統領に!?
ジョージ・ウェアが政権奪取間近。
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byBernard Papon
posted2017/10/26 11:00
ユニフォームを脱ぎ捨て、今はスーツとネクタイで戦っているウェア。“キング・ジョージ”はプレジデントになれるか?
祖国の慈善活動に全身全霊で奉仕してきたウェア。
サッカーへの貢献も忘れてはいない。
ウェアは、長年にわたり母国のサッカー基金に多額の資金を出資し続けている。
悲惨な内戦が続く間、協会の技術部門を統括するとともに、FIFAへの登録料や代表チームの移動、合宿や用具の費用などはすべて彼が支払ったのだった。そうした援助だけにとどまらず、彼は自らのクラブも設立した。
今や伝説となったそれらの出資は、貧困者に対しても継続的におこなわれた。
これらの活動のすべてが、ひとえに祖国リベリアへの愛情のなせる業であることは間違いない。
実際、リベリアが過去どんな状態であろうとも彼はこの祖国に対し全身全霊で奉仕し続けており……例えば、ある時期の彼は、血で血を洗う戦いを引き起こしたいわゆる「戦争の支配者たち」と会うことができる唯一の人間であったほどだった。
「私を信じて欲しい。私は良き大統領になれる」
若いころの“ミスター・ジョージ”は、大統領になることなど考えてもいなかった。
「僕が政治に関わる? そんなことは絶対にありえない」と、『アフリク・フットボール』誌の1994年11月号に掲載されたインタビューで彼は語っている。
最初の選挙に敗れた後、彼はサーリーフから青少年スポーツ大臣として新政府に入閣することを要請された。だが、政府において決して重要とはいえないポストに甘んじる気はなく、政治的な野心は年を追うごとに大きくなっていったのだった。
「私は本気で改革を目指している。それはひとりの政治家であるという事実の先にある」と、この5月にパリを公式訪問した際に彼は語っている。
「私はリベリアの発展する姿を見たい。支持者たちにはこう言っている。『私を信じて欲しい。私は良き大統領になれる。リベリアという国を、素晴らしい国にしたいと願っているのだから』と」