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青学の覇権を崩した東海の2年生たち。
二強対決、全日本&箱根の結末は?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2017/10/10 11:50
スカウティングの成功を順調に力に変えて、東海大学がついに青山学院の覇権にくさびを打ち込んだ。
原監督「全日本、箱根については自信があります」
「阪口と鬼塚、それに關にあれだけの走りをされると、なかなか勝つのは難しいね」
そう淡々と語ったのは青学大の原晋監督だ。
「1区の梶谷(瑠哉)が誤算でしたね。本調子ではなかったのが、ここ数日でグッと調子を上げてきたので期待したんですが、気温のせいもあって力を発揮できませんでした。それでも、2区の田村、3区の下田の4年生はしっかりと走ってくれました。今シーズンの青学は、ここからスタートです」
出雲駅伝は6区間45.1km。他の駅伝に比べると距離が短く、ひとつのミスがあると、なかなかその負債を返済するのが難しい。今回の青学大は1区で東海大に対し、後手に回ったのが後々響いた。
それでも原監督は季節が進むにつれ、青学大が優位に立てると踏んでいる。
「今回の出雲駅伝で、今シーズンについては東海さんと青学の“二強対決”の構図がハッキリしましたね。距離が伸び、人数も増えていく全日本、箱根については自信があります。選手層の厚さ、部内競争の激しさがウチの強みですから。それにここで勝っておかないと、東海さんに今年から“3年連続三冠”されかねませんからね(笑)」
冗談めかしてはいるが、来年以降のことを考えると、全日本と箱根は落とせないというのが監督の本音だろう。
全日本では主将の吉永竜聖、前回、6区を走って区間賞を獲得した森田歩希などの経験者の起用が予想される。
両角監督「それは原監督一流のトークですよ」
青学大が誇る上級生の分厚さか、それとも東海大の2年生のスピードのどちらが優位なのか、今からその対決が待ちきれない。
一方、両角監督も全日本には期するものがありそうだ。原監督が「東海大九冠」の可能性について触れたことを話すと、そこでは破顔一笑し、
「それは原監督一流のトークですよ」
と受けた後、すぐに真顔に戻った。