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スプリンターはロードレースを走る。~桐生祥秀の9.98は、100m走の興味をタイムから勝敗に移すか~
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph byKYODO
posted2017/10/06 10:30
インカレ男子100m決勝で9秒98を記録した桐生祥秀。
それは必ず破られる記録であり不滅の記憶でもある。もし明日に9秒97の優勝者がレンガ色のトラックを躍り、明後日に9.96の数字が電光掲示されたとしても「2017年9月9日の9秒98」は永遠だ。
桐生祥秀。東洋大学法学部企業法学科4年。さあ、ここからは「日本」が続くぞ。インカレこと日本学生対校選手権において9秒98の日本記録を達成、日本選手で初めて10秒を切った。
そこまでの日本記録は「10秒00」。1998年12月13日、タイの首都バンコク。アジア大会の準決勝で28歳の伊東浩司が叩き出した。フィニッシュ直後、場内に「9.99」と示された。だが、ほどなく「10.00」と訂正される。速報の見直しは珍しくなかった。0.01秒は距離換算で10cm。文庫本の横幅ほどの差だ。